「いつか家族で海外旅行に行きたい」
「両親を温泉旅行に連れて行きたい」
「旅行のためにお金を準備したいけれど、貯金だけでよいのか迷う」
旅行を楽しみにしながら、お金の準備方法として新NISAが気になっている方もいるのではないでしょうか。
新NISAでは、投資信託や株式などで得た利益が一定の範囲内で非課税になります。そのため、将来の旅行費用を考えるうえで、選択肢のひとつになる場合があります。
ただし、旅行資金なら何でも新NISAで運用すればよいわけではありません。
投資には元本割れの可能性があります。旅行の直前に価格が下がれば、予定していた旅費を用意できないこともあります。金融庁も、NISAの活用は資産形成の選択肢のひとつであり、NISAを使った投資にも元本保証はないと説明しています。
この記事では、新NISAで旅行資金を準備する場合の考え方、インデックス投資の基本、預貯金との使い分け、初心者が始める前に確認したい注意点を解説します。
本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。
旅行資金を新NISAで準備してもよい?結論は「使う時期による」
旅行資金を新NISAで準備するかどうかは、いつ使うお金なのかで考え方が変わります。
たとえば、来年の家族旅行の費用を投資信託で運用してしまうと、出発直前の値下がりで予算が足りなくなる可能性があります。旅行の日程が決まっていて、減ると困るお金は、預貯金で準備する方が安心です。
一方で、「5年以上先に家族で海外旅行に行きたい」「時期は相場や家計の状況に合わせて調整できる」という場合には、余裕資金の一部を新NISAで積み立てる考え方もあります。
旅行時期別のお金の置き場所
| 旅行までの期間・条件 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 1〜3年以内に必ず使う旅行資金 | 預貯金を優先する |
| 数年先で、時期や予算を調整できる旅行 | 生活に影響しない余裕資金の一部で投資を検討する余地がある |
| 老後や将来の趣味旅行など、使う時期がかなり先 | 長期の資産形成の一部として新NISAを考えやすい |
大切なのは、旅に行くためのお金を、旅に行けなくなるほどリスクにさらさないことです。
新NISAで旅行資金を考える前に知っておきたいこと
新NISAでは投資の利益が非課税になる
通常、投資で得た売却益や配当・分配金には、原則として20.315%の税金がかかります。
新NISA口座で購入した対象商品から得られる利益は、制度の範囲内で非課税になります。たとえば、対象商品を売却して5万円の利益が出た場合、課税口座では税金が差し引かれますが、NISA口座ではその利益を非課税で受け取れます。
2024年からのNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 併用 | 可能 | 可能 |
| 非課税保有限度額 | 合計1,800万円 | うち成長投資枠は1,200万円まで |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 主な対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など |
旅行資金を少額で積み立てながら考える場合、まずはつみたて投資枠の商品を確認する方が、初心者には理解しやすいでしょう。
新NISAでも元本割れする
新NISAは、投資の利益に税金がかかりにくくなる制度です。投資したお金が減らない制度ではありません。
たとえば、旅行費用として60万円を目標に積み立てていても、旅行を予定した時期に相場が下落していれば、評価額が60万円を下回っている可能性があります。
特に、日程が決まっている旅行のお金をすべて投資に回すと、「旅行には行きたいのに、今売ると損が確定してしまう」という状況になりかねません。
そのため、旅行資金のうち、減ると困る金額や近いうちに使う金額は預貯金で確保することが重要です。
インデックス投資とは?初心者が確認したい基本
インデックス投資とは、日経平均株価やTOPIX、S&P500、全世界株式指数など、特定の指数に連動する運用成果を目指す投資方法です。
個別企業の株を自分で選ぶのではなく、複数の企業や地域へ分散して投資しやすい点が特徴です。
代表的な投資対象には、以下のようなものがあります。
- 日本企業を中心に投資する指数
- 米国企業を中心に投資する指数
- 日本を含む世界中の企業に投資する指数
ただし、インデックス投資であっても価格は上下します。全世界株式型や米国株式型の投資信託も、購入時期や売却時期によっては元本割れします。
「つみたて投資枠の商品だから安全」とは限らない
つみたて投資枠の対象商品は、金融庁の基準を満たした、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。
しかし、これは「必ず増える」「元本割れしない」「低リスクが保証されている」という意味ではありません。金融庁も、積立投資や分散投資であっても、将来の運用成果は保証されないと説明しています。
商品を選ぶ際は、少なくとも次の点を確認したいところです。
- 何に投資する商品なのか
- 値動きが大きくなり得る商品か
- 信託報酬などの費用はいくらか
- 旅行時期まで保有し続けられるか
- 下落した場合に、売却を急がずに済むか
旅行資金は「預貯金」と「新NISA」に分けて考える
旅行という目的がある場合、すべてのお金を同じ場所に置く必要はありません。
むしろ、使う時期によって分ける方が考えやすくなります。
近いうちに行く旅行のお金は預貯金で準備する
たとえば、次のようなお金は預貯金で準備する方が安心です。
- 来年の国内旅行代
- すでに予約を考えている航空券や宿泊代
- 子どもの卒業旅行など、時期を動かしにくい旅費
- キャンセルしたくない家族旅行の費用
旅行直前に資産価格が下落しても、予定通り出発できる状態にしておくことが大切です。
いつか行きたい旅行のお金は、余裕資金の一部で考える
一方で、次のような旅行であれば、新NISAを使った積立を検討する余地があります。
- 5年以上先を想定した海外旅行
- 時期を数年単位で調整できる旅
- 生活防衛資金を確保した後の余裕資金で準備する旅
- 資産が値下がりしている時期には延期できる旅行
ここでのポイントは、旅行に行く日を投資の都合に合わせられるかどうかです。
「何年何月に必ず必要」というお金であれば、投資との相性は慎重に考える必要があります。
私が月1万円を積み立てている理由
私は、NISA口座のつみたて投資枠を利用して、月1万円を積み立てています。
目的のひとつは、将来の家族旅行に使えるお金を準備することです。
月1万円を5年間積み立てた場合、積立元本は次のようになります。
| 毎月の積立額 | 期間 | 積立元本 |
|---|---|---|
| 1万円 | 1年 | 12万円 |
| 1万円 | 3年 | 36万円 |
| 1万円 | 5年 | 60万円 |
ただし、5年後に必ず60万円以上になっているわけではありません。運用状況によっては60万円を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。
そのため、私は「5年後に絶対この金額で旅行に行くためのお金」というより、家計に無理のない範囲で、将来の選択肢を増やすためのお金として考えています。
旅行の予定が近づいたときに相場が悪ければ、旅行時期や予算を調整する。反対に、家計と運用状況に余裕があれば、少し特別な旅を考える。
投資を旅行に結びつけるなら、このくらい柔らかく考えておく方が、無理なく続けやすいと感じています。
旅行資金のために新NISAを始める5ステップ
STEP1:行きたい旅行と必要金額を大まかに決める
最初に考えたいのは、金融商品ではなく旅行の目的です。
- 国内温泉旅行で10万円を準備したい
- 家族で海外旅行をするために50万円を目指したい
- 退職後に長期旅行を楽しむ資金を準備したい
必要な金額と使う時期によって、預貯金を中心にするか、投資を検討できるかが変わります。
STEP2:生活防衛資金と近い旅行代を先に確保する
投資を始める前に、生活費や急な出費に備えるお金を確保します。
また、1〜3年以内に使う予定の旅行費用は、投資とは分けて預貯金で準備する方が安心です。
新NISAに回すのは、値下がりしても生活や直近の予定に影響しない範囲のお金に限りましょう。
STEP3:NISA口座を開設する金融機関を選ぶ
新NISAを利用するには、銀行や証券会社などでNISA口座を開設します。
NISA口座は1人1口座で、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできません。金融機関は年単位で変更できますが、最初に比較して選ぶ方が手間を抑えられます。
選ぶ際は、次の点を確認してください。
- 購入したい商品を扱っているか
- 積立設定がしやすいか
- 手数料やポイント条件が分かりやすいか
- アプリやサポートが使いやすいか
詳しい手続きは、関連記事の「新NISAの始め方5ステップ|初心者が最初にやること」で解説しています。
STEP4:自分が理解できる投資信託を選ぶ
旅行資金を目的にする場合、値上がり期待だけで商品を決めるのではなく、下落した場合にも保有し続けられるかを考えることが重要です。
商品を選ぶ際は、投資先、費用、値動きの大きさ、分散の範囲を確認しましょう。
「人気だから」「SNSでおすすめされていたから」だけで選ぶのではなく、自分で内容を説明できる商品に限って検討する方が安心です。
STEP5:無理のない金額で積み立て、旅行時期が近づいたら見直す
積立金額は、大きければよいわけではありません。
月1,000円、月5,000円、月1万円など、実際に設定できる最低額は金融機関や商品によって異なります。家計に負担がない範囲で、続けられる金額を考えましょう。
また、旅行の予定が近づいてきたら、必要なお金まで投資のままにしておくのか、少しずつ預貯金へ移すのかを見直すことも大切です。
旅行資金を新NISAで準備する際の注意点
旅行の直前に値下がりする可能性がある
株式を含む投資信託は、短期間で大きく値下がりすることがあります。
旅行日程が決まっているのに、旅費をすべて投資に回していると、値下がりしたタイミングで売却せざるを得ない場合があります。
新NISAで損失が出ても損益通算できない
NISA口座で購入した商品に損失が出ても、課税口座で得た利益と相殺する損益通算はできません。また、損失の繰越控除もできません。
投資先の商品内容を理解する必要がある
インデックス投資は、個別株を一社ずつ選ぶ方法と比べて分散しやすい一方、どの商品でも同じ値動きをするわけではありません。
日本株中心の商品、米国株中心の商品、全世界株式の商品では、投資対象や値動きが異なります。
投資によって旅行を我慢しすぎない
旅行は、将来のためだけにあるものではありません。
将来の旅行資金を積み立てるために、今しかできない旅行や体験をすべて諦めてしまうと、本来の目的から離れてしまいます。
近い旅行は預貯金で楽しみながら、遠い将来の旅の選択肢を増やすために、新NISAを無理のない範囲で活用する。そのくらいの距離感がちょうどよいのではないでしょうか。
新NISAと旅行資金に関するよくある質問
新NISAで旅行資金を準備するのは危険ですか?
使う時期が近く、減ると困る旅行資金を投資する場合は慎重に考える必要があります。一方で、生活防衛資金を確保したうえで、時期を調整できる将来の旅行資金の一部を積み立てる考え方はあります。
5年後の旅行資金なら投資しても大丈夫ですか?
5年後であっても元本割れする可能性はあります。必ず必要な旅費は預貯金で準備し、投資する場合は旅行時期や予算を調整できる範囲にとどめることが大切です。
つみたて投資枠の商品なら損をしにくいですか?
つみたて投資枠の商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の基準を満たした投資信託ですが、元本保証ではありません。価格が下がり、損失が出ることもあります。
月1万円を5年間積み立てると必ず60万円になりますか?
積立元本は60万円ですが、投資信託で運用する場合、評価額は値動きによって増減します。5年後に60万円を下回る可能性もあります。
新NISAを始めるにはどうすればよいですか?
銀行や証券会社などでNISA口座を開設し、利用する投資枠と商品、積立金額を決めます。口座は1人1口座のため、金融機関の取扱商品や使いやすさを確認して選ぶことが大切です。
まとめ|旅を楽しむために、減って困るお金は投資しない
新NISAは、投資で得た利益を非課税で受け取れる制度です。将来の旅行に向けて、余裕資金の一部を積み立てる選択肢になる場合があります。
ただし、新NISAを使っても元本割れの可能性はあります。特に、近いうちに使う予定の旅行代や、減ると旅行そのものを諦めることになるお金は、預貯金で準備する方が安心です。
旅行資金を考えるときは、次のように分けてみてください。
- 近いうちに使う旅行代は、預貯金で準備する
- 数年先で時期を調整できる旅行資金は、余裕資金の一部で投資を検討する
- 商品を選ぶ前に、元本割れしても予定を変更できるか考える
- 積立額は、日々の生活や今の楽しみを圧迫しない範囲にする
投資は、旅行を我慢するためのものではありません。
今の生活を大切にしながら、いつか行きたい旅の選択肢を少しずつ増やしていく。その手段のひとつとして、新NISAを落ち着いて検討してみてください。
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